ユニバーサルサービスという言葉をご存知でしょうか。電話を利用しているのであればほとんどの人が、毎月わずかな額ですが、このユニバーサルサービスを利用するために、ユニバーサルサービス料という利用料を支払っています。
では、それは具体的にどのようなもので、なぜ支払う必要があるのでしょうか。今回はユニバーサルサービス、ユニバーサルサービス制度、ユニバーサルサービス料について解説していきます。
日本では固定電話、公衆電話、緊急通報(110番や119番など)は、国民生活に不可欠なサービスとして日本全国あらゆるところで提供されるべきと法律で定められています。この3つの電話サービスのことをユニバーサルサービスといいます。そしてユニバーサルサービス制度とは、このユニバーサルサービスを提供するための費用を電話会社それぞれで応分に負担しようという制度のことです。
では各電話会社はどのようにしてその費用を捻出しているのでしょうか。ほとんどの電話会社では、その費用は利用者が支払う「ユニバーサルサービス料」でまかなっています。
利用者が各電話会社へ支払うユニバーサルサービス料は、ユニバーサルサービス支援機関である社団法人電気通信事業者協会(TCA)が半年に1回、見直しを行い、どの利用者に対しても同じ料金が課されるようになっています。
2012年7月~2014年12月までのユニバーサルサービス料は1電話番号あたり3円/月、2015年1月~2016年6月までは1電話番号あたり2円/月、2016年7月~2016年12月までは1電話番号あたり3円と、ここ数年間はだいたい2~3円くらいで前後しています。2017年1月からは料金改定があり、1電話番号あたり2円/月になりました。
ユニバーサルサービスは、電気通信事業法第7条によって電気通信役務であると定義されています。
もともとは固定電話事業を行っているNTT東日本とNTT西日本にその役務を果たすことが義務づけられていたのですが、1990年代後半からはNTTだけではユニバーサルサービスを維持するのが難しくなりました。他事業者の参入によって競争が激しくなり、マーケットがNTTだけのものではなくなったためです。
結果、ユニバーサルサービスが確保できない恐れが出てきました。そこで2002年に、NTT回線に接続するNTT以外の電話会社もユニバーサルサービスを維持するためのコストを負担する仕組み=ユニバーサルサービス制度が作られ、2006年から稼働したのです。
なお、各電話会社が利用者からユニバーサルサービス料として徴収したお金は、基礎的電気通信役務支援機関に納められ、その後、NTTに交付されます。
以上がユニバーサルサービス制度、ユニバーサルサービス料の概要です。ごく簡単にいえば、全国の人たちが固定電話、公衆電話、緊急通報が利用できるようにするために、携帯電話を含む電話を使用している人々が毎月ユニバーサルサービス料を支払っていると考えれば、理解しやすいのではないでしょうか。
2017年1月更新